24時間 365日休めない日々 A
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24時間 365日休めない日々 @
やってしまいました・・・
1年で一番忙しいかき入れ時。
あろうことか、店長が病欠とはいえ店を休む。 それも3日間。
事前に連絡は入れていたものの、後悔と歯がゆさを抱えながら
布団の中で3日間も唸っていたのです。
それでも3日もすると、なんとか動けるようになり、休み明けに出勤すると
当然のように周りのスタッフの視線が冷たい、冷たい。
取り急ぎ、上司がフォローしてくれる事になっていましたが、そんな形跡もあまりなく、
お正月三が日は地獄のパニック状態の再来だったことが、売り上げを見れば
容易に想像が出来ました。
あとからわかった事ですが、
この店は席数も多く、当時は社内のチェーン店が40店舗以上ありましたが、
ダントツの売上No1でした。
とりあえず体調は万全ではないものの他の誰よりも動かないと申し訳がたたない。
そんな事を考えながら懸命に自分の体に鞭打って一生懸命にホールを走り回ります。
当時は、ショッピングセンター自体が新しくオープンしたので、
新年にはいって、連日おびただしい数のお客さんが来店されます。
つまり、平日も週末も売上が殆ど変わりなく、毎日が日曜日のようなものでした。
また、特にすごかったのがゴミの量です。
毎日1000人以上のお客さんが来店されると、それに比例してゴミの量がハンパじゃないのです。
営業途中に事業用の大きなゴミ袋を背の高さぐらいまでいくつも台車に積んで、ゴミ捨て場まで何往復もしなければいけません。
途中の通路で生ごみなんかひっくり返した日には、事務局から大目玉を食らいます。
そして、店内ではあまりの忙しさに慌てるあまり、グラスやお皿を頻繁に割ったり、
アルバイトは貧血で倒れて運ばれたり、人間関係もギスギスして、もはや手がつけられない店舗となってしまっていたのです。
今思えば、経験不足の僕には少し荷が重かったのかもしれません。
そしてようやく体調も戻り、少し落ち着きを取り戻した頃、
事件が起きます。
なんとスタッフの一人が
調理場でボヤを出してしまうのです。
鍋にかけた油に火が引火して天井まで達してしまったのです。
そして店内の至る所でスプリンクラーから水が一斉に噴射され、
スタッフだけでなくお客さんもずぶ濡れになってしまい、店内は大パニックです。
火はすぐに消し止められたのですが、
その日はこの件で営業不可能になってしまいました。
それだけならまだしも、店舗の上のフロアは映画館が入っていたのですが、
このスプリンクラー騒ぎが原因でなんと上映中の映画をストップさせてしまったのです。
映画を鑑賞していたお客さんからは、大クレームの嵐。
さらにスプリンクラーから出た水が床から染み出し、下の階にまで落ちてしまい、アパレルショップの服にまで被害が及ぶことになってしまうのです。
また、やってしまいました・・・
部下の失態とはいえ責任者である僕は、賠償問題に発展するレベルの事件を引き起こしてしまったのです。
もはや僕の手には負えないぐらいの大問題になってしまい、結果的には当事者のスタッフはこの件が原因で退職、僕に至っては翌週から別の店舗への異動となってしまいました。
結果、1年足らずで新規店の店長をクビになりましたが、
幸か不幸か異動先の店舗は今までに比べて売り上げも店の大きさも規模が小さくなり、
僕にとっては身の丈に合ったお店でした。
『これで少しは楽が出来るかも!』
などと飛ばされたにも関わらず、そこには能天気な自分がいました。
しかし・・・
喜びもつかの間で僕は、すぐに失意のどん底にたたき落とされるのです。
何故なら、次の店舗は信じられないレベルの人手不足だったのです。
通常の必要人員の半分しかスタッフがいないのです。。。。(なんで?)
当然、また僕は休みも満足に取れず、1週間の殆ど朝から晩まで働き通し。
週末のピークは人手がいないので、常にクレームの連続です。
特に大変なのは、1日のうち数時間は俗に言う『ワンオペ』(一人で店を営業する事)
シフトになり、少しお客さんが来店しただけで、あっという間にクチャクチャな営業になってしまう事です。
毎日くたくたになりながら、またもや家と店との往復で1日が終了してしまうのでした。
『とにかくアルバイトを早く採用して育てなければ・・・』
『このままでは近いうちに死んでしまう。。。』
そんな事を日々思いながらブラックな労働環境に首までどっぷりつかっていました。
そして半年間、耐えに耐え
新しく採用したアルバイトも少しずつ戦力になり、
少しずつ休みも取れる環境が整いはじめました。
(これでようやく普通の生活が送れる。)
そんな安ど感に浸っていた矢先、
突然上司から 耳を疑うような電話がかかってきてこう言い放ったのです。
『お疲れ様。来月から新店がまたオープンするからそこに行ってくれ。』
『ここは随分立て直ったから、もう大丈夫だろう。ありがとう。』
『来週までに引継ぎを済ましておいてくれ。じゃあ。』
ツーツーツー
僕『・・・・・はぁ?』