劣等感と敗北感を味わい続けた青春時代
高校受験に失敗した僕は、滑り止めに受けた私立の高校に仕方なく通い始めました。
僕の家は裕福でもなかったので、私立に通わせてもらえるほどの余裕なんか本当はなかったと思います。
親には申し訳ない気持ちで一杯だったのですが、両親はそんなことを微塵も口に出さず
『高校ぐらいはきちんと卒業しなさい。』と新しい門出を勧めてくれたのです。
複雑な気持ちを胸に、通い始めた高校は地元の男子校でした。
僕は彼女と同じ公立の高校に通う事だけを信じて疑わなかったので、この学校に通う事を今まで一度も想像した事がありませんでした。
入学シーズンが終わっても不合格のショックを引きずる僕は、何事に対しても全くやる気が起こりませんでした。
無気力な日々が続き、学校もほとんど遅刻、早退、あげくの果てには不登校の状態に堕ちてしまうのです。
あの当時 付き合っていた彼女とは、何となく気まずい関係になり、卒業と同時に別れてしまいました。
彼女だけが志望の高校に合格し、僕らは別々の高校に進むことになったのですが、
劣等感とプライドが邪魔をして、もう元の関係に戻る事はありませんでした。
あんなに高校に行っても仲良くしていこうと約束たのに。自分の不甲斐なさが、残念で悔しくてなりませんでした。
新しい高校に通い出し、まず一番驚いたのは、男子校という事でした。
受験する時に当然確認していたのですが、通学する可能性なんて0%だと思っていたので、これには本当にショックでへこみました。
周りを見渡せば男、男、男、男、男。 生徒も先生も全部男です。かろうじて事務員のおばさんが1〜2人いたでしょうか。
又、全校生徒あわせると 2500人以上のマンモス高校で、おまけに当時の制服は真っ黒な詰襟(つめえり)の学生服で、帽子から靴まで真っ黒けでした。
もはや自分にはカラスの大集団(全部オス)にしか見えません。
生まれて初めてそんな環境に投げ出され、華やかな青春とかけ離れた毎日が嫌で嫌で仕方ありませんでした。
そしてもう一つ入学してから知ったのですが、1/4ぐらいの生徒が、僕と同じように公立の高校受験に失敗して、やむを得ずこの学校に入学してきたらしく、クラスを見渡しても失意のどん底にいるようなやつらが意外にたくさんいるのだと気づかされたのです。
ですから、最初の頃はクラス全体が、どんより沈んだ重い空気に満ち溢れていました。その空気が更に自分の無気力に拍車をかけるのです。
でもそれを知って少し仲間が出来たような気になり、ほんの少しだけ前向きになろうとその時に決心しました。
そして、気がつけば半年が過ぎようとしていた頃、風の噂で
彼女が僕の親友と付き合いだした。
という事を人づてに聞き 更にどん底まで落ち込んだことを覚えています。
前向きに生きようとした矢先の出来事でした。